STEP 1まず1問、見てみる

処分の名前を全部覚えていなくても大丈夫。まず「誰に」「何がきっかけで」を読みましょう。
総務大臣は、無線局の発射する電波の質が総務省令で定めるものに適合していないと認めるとき、その無線局に対してどのような命令をすることができるか。
- 1臨時に電波の発射の停止を命ずる
- 2直ちに無線局の免許を取り消す
- 3無線従事者の業務の従事を停止する
- 46箇月間の空中線電力の制限を命ずる
どれも電波法に出てくる処分らしく見えるので、条文の番号を思い出そうとすると迷います。
この型は、条文番号より先に主語(局か、人か)ときっかけ(電波の質の不適合か、法令違反か、休止や不正か)を読むと、肢が半分以上消えます。
罰則の問題も同じで、「何をした人か」を先に決めてから、拘禁刑の年数と罰金の額を対で照合します。一陸技の法規で見た条文ばかりですが、3アマでは肢の作り方が素直なぶん、数字の入れ替えで落とします。

STEP 2覚えること

局への措置は72条・76条、人への措置は79条。最初にこの2つの箱へ振り分けます。
行政上の措置は、対象とした相手で2つに分かれます。無線局(免許人)への措置は電波法72条と76条、無線従事者(人)への措置は79条です。刑罰(拘禁刑・罰金)は第9章(105条以下)で、これは措置とは別の枠です。
局への措置と人への措置
| 条文 | きっかけ | できること | |
|---|---|---|---|
| 臨時の電波の発射の停止 | 72条1項 | 電波の質が総務省令(28条)に適合しない | 臨時に電波の発射の停止を命ずる |
| 運用の停止・制限 | 76条1項 | 免許人等が法律・命令・処分に違反 | 3月以内の運用の停止、又は期間を定めて運用許容時間・周波数・空中線電力の制限 |
| 無線局の免許の取消し | 76条4項 | 正当な理由なく引き続き6月以上休止、不正な手段で免許、1項の命令・制限に従わない など | 免許を取り消すことができる |
| 無線従事者の免許の取消し・従事停止 | 79条1項 | 法律・命令・処分に違反、不正な手段で免許、著しい心身の欠陥(42条3号) | 免許の取消し、又は3箇月以内の業務の従事の停止 |
72条の発射停止は、違反への罰ではなく電波の質を直すための措置です。免許人から「適合するようになった」と申出があれば、総務大臣は試験的に電波を発射させ、適合していれば直ちに停止を解除しなければなりません(72条2項・3項)。
72条と76条の違いを、場面で確かめておきます。送信機が故障して周波数が許容偏差の外へずれていた、高調波が強く出ていた、というのは電波の質の問題で、免許人に悪意がなくても起きます。だから72条は「臨時に」止めて、直れば解除します。
一方、免許を受けた周波数や空中線電力を超えて運用した、目的外の通信をした、というのは違反で、76条の運用の停止や制限の対象です。同じ「止める」でも、直すための停止と、違反への処分の停止は別物です。
76条1項で制限できるのは運用許容時間・周波数・空中線電力の3つだけです。電波の型式、通信事項、通信の相手方の制限はありません。
また、条文の「3月以内」は運用の停止にかかり、制限のほうは「期間を定めて」と書かれているだけです。例題No.1 法規 問5 は、この3つ以外を並べた肢を切る問題です。
3つの「停止」は止めるものが違う
| 条文 | 止めるもの | |
|---|---|---|
| 発射の停止 | 72条 | 局の電波 |
| 運用の停止 | 76条 | 局の運用 |
| 業務の従事の停止 | 79条 | 人の仕事 |
問題文に「停止」が出たら、何を止めるのかを1語で言えるか確かめてください。なお、76条1項・4項や79条1項の処分をしたとき、総務大臣は理由を記載した文書を送付しなければなりません(77条、79条3項で準用)。
76条4項も79条1項も、文末は「取り消すことができる」です。違反があれば必ず取消しになる、と書いた肢は条文と合いません。取り消された側には、次のような後の影響もあります。

免許証の返納は無線従事者規則51条です。返納が必要になる場面は次の3つです。
無線従事者の免許証を返納する場面(従事者規則51条)
| 誰が | いつまでに | 返すもの | |
|---|---|---|---|
| 免許の取消しの処分を受けた | 本人 | 処分を受けた日から10日以内 | 免許証 |
| 再交付を受けた後、失った免許証を発見した | 本人 | 発見した日から10日以内 | 発見した古い免許証(再交付を受けた免許証は手元に残す) |
| 死亡又は失そうの宣告を受けた | 戸籍法の届出義務者 | 遅滞なく(2項) | 免許証 |
業務の従事の停止は返納の理由になりません。従事者の免許には有効期間がないので、年数がたったことによる返納もありません。
再交付そのものは無線従事者規則50条で、氏名に変更を生じたとき、又は免許証を汚し、破り、若しくは失ったときに申請します。失った場合以外は古い免許証を申請書に添えて出すので、後から見つかって返納が問題になるのは「失った」場合だけです。
局の側は仕組みが違います。2025年10月から局の免許状は廃止され、免許の内容は免許記録として総務大臣が管理します。
免許が効力を失ったときは、総務大臣が免許記録にその旨を記録し(24条)、免許人であった者は遅滞なく空中線の撤去その他の電波の発射を防止する措置を講じます(78条)。旧・免許状の返納を問う古い問題は、現行法では答えが変わる点に注意してください。
罰則は「何をした人か」で年数と金額が決まります。2025年6月から懲役は拘禁刑に改められたので、古い問題の「懲役」は拘禁刑と読み替えます。
出やすい罰則(年数と金額は対で覚える)
| 条文 | 刑 | |
|---|---|---|
| 免許がないのに無線局を開設・運用 | 110条1号・2号 | 1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金 |
| 発射の停止・運用の停止を受けた局を運用 | 110条8号 | 1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金 |
| 無線局の取扱中に係る無線通信の秘密を漏らし、又は窃用 | 109条1項 | 1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金 |
| 無線通信の業務に従事する者が、業務に関し知り得た秘密を漏らし、又は窃用 | 109条2項 | 2年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金 |
| 重要な無線設備を損壊するなどして無線通信を妨害 | 108条の2第1項 | 5年以下の拘禁刑又は250万円以下の罰金 |
表のほかに、免許を受けた局でも、目的や通信の相手方・通信事項の範囲を超えて運用するなど52条・53条・54条1号・55条に違反して運用した場合は、110条5号で無免許開設と同じ1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金です。
また、無線設備でわいせつな通信を発した者は、108条で2年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金です。1年の刑に付く罰金が50万円になるのは、秘密の漏えい・窃用(109条1項)だと押さえておくと、金額の入れ替えに強くなります。

STEP 3肢の切り方

主語ときっかけ、2つ決めてから肢へ。主語で半分、きっかけでもう半分が消えます。
オリジナルNo.1 法規 問5(電波の質の不適合)を、主語ときっかけで切ります。主語は無線局、きっかけは「電波の質が省令に適合しない」。違反ではなく不適合なので72条です。
電波の質の不適合への措置を1肢ずつ切る

例題No.1 法規 問6 は主語が「無線従事者」なので79条です。局への処分や、79条にない処分を消していきます。
無線従事者への処分を1肢ずつ切る
例題No.2 法規 問4(返納しなければならない場合)は、51条の2つの場面(取消しの処分、再交付後の発見)に当たる肢だけを残し、従事停止や「5年」の肢を切ります。
例題No.1 法規 問4 は、返す物が「発見した免許証」、期限が「10日以内」、手続が「返納」の3点がそろった肢を選びます。

オリジナルNo.3 法規 問5(無免許開設の罰則)は、110条の「1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金」を対で照合します。
「30万円以下の罰金」だけの肢は拘禁刑が欠けているうえに金額も違い、「6箇月以下・30万円以下」は軽すぎます。「5年以下・250万円以下」は108条の2の妨害の刑です。
オリジナルNo.2 法規 問9(秘密の漏えい・窃用、業務従事者を除く)は109条1項の1年・50万円で、2年・100万円は除かれている業務従事者の刑です。
オリジナルNo.2 法規 問5 の休止期間は76条4項1号の「6月以上」。3箇月は運用停止の上限なので入れ替えに注意します。
STEP 4ひっかけ

罰則は年数だけで選ぶと落ちます。同じ1年でも50万円と100万円がある。金額まで照合して。
入れ替えられやすいのは、発射の停止(72条)/運用の停止(76条)/業務の従事の停止(79条)、局の免許/人の免許、発見した旧免許証/再交付を受けた免許証、50万円/100万円、3箇月/6箇月、「できる」/「しなければならない」。

処分の問題は、問題文の主語に線を引いてから肢を読みます。罰則は年数と金額の片方だけで選ばず、両方そろった肢を選んでください。迷ったら保留して先へ進み、最後に必ず戻って全問に回答します。
STEP 5自分で解く
無線局の発射する電波の質が総務省令で定めるものに適合していないと総務大臣が認めるとき、その無線局に対してできる措置はどれか。
電波法の規定により、無線局の免許がないのに無線局を開設した者は「1年以下の拘禁刑又は[ ]万円以下の罰金」に処せられる。[ ]に入る数はどれか。
無線従事者が免許証を返納しなければならない場合はどれか。
STEP 6今日のまとめ

5つとも「誰への措置か」から言えれば大丈夫。数字は年数と金額をセットで声に出しましょう。
今日おぼえたこと
- 主語が局なら72条(電波の質の不適合→臨時の発射停止)と76条(違反→3月以内の運用停止、運用許容時間・周波数・空中線電力の制限)
- 主語が人なら79条(免許の取消し又は3箇月以内の従事停止)。どちらも「できる」
- 局の免許の取消し事由は、正当な理由なく引き続き6月以上の休止など
- 免許証の返納は取消し処分と再交付後の発見で、10日以内。死亡時は届出義務者が遅滞なく
- 無免許開設 1年・100万、秘密の漏えい窃用 1年・50万、業務従事者 2年・100万、重要無線の妨害 5年・250万
次回は最終回です。定義の穴埋めと周波数の安定、送信機の緩衝増幅器と PLL を回収し、第4週の仕上げ方を確認します。
本番の問題この回で取れるようになった問題
「例題No.」は公益財団法人日本無線協会が公表している CBT 方式の国家試験の例題、「過去問」は同協会の公表試験問題です(日本無線協会 試験問題。同協会の利用条件に基づき掲載)。「オリジナル」は当サイトの作問です。