STEP 1まず1問、見てみる
例題No.1 法規 問12は「自局に対する呼出しであることが確実でない呼出しを受信したときは、どうしなければならないか」という問題です。
モールス無線通信において、自局に対する呼出しであることが確実でない呼出しを受信したときは、どうしなければならないか。
- 1「QRA?」を使用して直ちに応答する。
- 2その呼出しが反復され、かつ、自局に対する呼出しであることが確実に判明するまで応答してはならない。
- 3「QRU?」を使用して直ちに応答する。
- 4「QRZ?」を使用して直ちに応答する。
肢は3つが「QRA?」「QRU?」「QRZ?」を使って直ちに応答する、残りの1つが「反復され、自局に対する呼出しだと確実に分かるまで応答しない」です。
迷いどころは、よく似た別の場面があることです。例題No.2 法規 問13は「自局に対する呼出しを受信したが、呼出局の呼出符号が不確実」という場面で、こちらはQRZ?で直ちに応答するのが正解です。
「自分あてかどうか」が不確かなのか、「自分あてだが、相手が誰か」が不確かなのか。この1点を読み分けられれば、2問とも取れます。
このあたりの規則は無線局運用規則の第2章にまとまっていて、一陸技の法規で習った人も多いはずです。ただ、3アマでは「モールスでの手順」として、回数と略符号まで細かく問われます。この回では、2つの局の会話を時間の順に追いながら、どの場面で何を何回送るかを整理します。

STEP 2覚えること
呼び出す前にすることから始めます。無線局は相手局を呼び出そうとするとき、電波を出す前に受信機を最良の感度に調整し、自局が使う周波数などを聴いて、ほかの通信に混信を与えないことを確かめなければなりません。混信を与えるおそれがあれば、その通信が終わるまで呼出しをしてはいけません(運用規則19条の2)。
次に呼出しです。呼出しは、相手局の呼出符号を3回以下、DEを1回、自局の呼出符号を3回以下の順に送ります(運用規則20条1項)。DEは「……から」という意味の略符号で、呼出局の呼出符号の前に置きます(運用規則別表第二号)。
規則の本文には「海上移動業務にあつては二回以下」という括弧書きがあり、試験の肢の「2回以下」はここから来ています。アマチュア局は3回以下です。
呼んでも応答がないときの決まりもあります。海上移動業務の呼出しは1分間以上の間隔をおいて2回反復でき、それでも応答がなければ、少なくとも3分間の間隔をおかないと呼出しを再開できません。
アマチュア局のような海上移動業務以外の局も、できる限りこれに準じて反復・再開します(運用規則21条)。また、自局の呼出しがすでに行われている通信に混信を与えていると知らされたら、直ちに呼出しを中止します(運用規則22条1項)。
呼出しを受けた局は、自局に対する呼出しを受信したら直ちに応答しなければなりません(運用規則23条1項)。応答は、相手局の呼出符号を3回以下、DEを1回、自局の呼出符号を1回の順です(同条2項)。
呼出しとの違いは最後の「自局の呼出符号」だけで、呼出しは3回以下、応答は1回です。呼び出す側は自分が誰かを相手にしっかり伝える必要があり、応える側は相手がもう自分を知っているから1回で足りる、と考えると覚えやすくなります。
呼出しと応答で送る事項
| 呼出し(運用規則20条1項) | 応答(運用規則23条2項) | |
|---|---|---|
| 相手局の呼出符号 | 3回以下 | 3回以下 |
| DE | 1回 | 1回 |
| 自局の呼出符号 | 3回以下 | 1回 |
応答のあとに続けて送るものは、すぐ通報を受けられるかどうかで変わります(運用規則23条3項)。直ちに通報を受信しようとするときは「K」を送ります。Kは別表第二号で「送信してください」という意味です。
直ちに受信できない事由があるときは、Kの代わりに「AS」と、分で表す概略の待つべき時間を送ります。ASは「送信の待機を要求する符号」です。待つ時間が10分以上になるときは、その理由も簡単に送らなければなりません。

呼んだ側は、応答を受けたら、相手局がASを送ってきた場合などを除いて、直ちに通報の送信を始めます(運用規則29条1項)。つまりKは「どうぞ、送ってください」、ASは「少し待ってください」という合図で、呼んだ側はこの1文字を見て、送るか待つかを決めます。
応答の次に何が来るかを問う問題では、肢にARやVA、VVVが混ぜてあります。これらは送信や通信を終えるときや、試験電波を出すときの符号で、次回に整理します。


「確実でない」のは自分あてか、相手の符号か。ここを取り違える人が多いです。
ここからが「不確実な呼出し」の規則です(運用規則26条)。2つの場面を分けて覚えます。
不確実な呼出しを受けたとき(運用規則26条)
| 何が不確実か | どうするか | |
|---|---|---|
| 1項 | 自局に対する呼出しかどうか | 反復され、自局あてと確実に分かるまで応答しない |
| 2項 | 自局あては確実だが、呼出局の呼出符号 | 相手局の呼出符号の代わりに「QRZ?」を使って直ちに応答する |
QRZ?は別表第二号で「誰がこちらを呼んでいますか」という問いです。2項の場面では、自分が呼ばれていることは分かっているので、黙っていてはいけません。相手の呼出符号を送るべき場所にQRZ?を置いて、すぐ応えます。
似た形のQRA?は「貴局名は、何ですか」、QRU?は「そちらは、こちらへ伝送するものがありますか」で、どちらもこの場面のための符号ではありません。

最後に訂正です。送信中に誤った送信をしたと知ったときは、決められた略符号を前置して、正しく送信した適当の語字から更に送信しなければなりません(運用規則31条)。
前置する略符号は、手送による欧文の送信と自動機による送信では「HH」、手送による和文の送信では「ラタ」です。HHは別表第二号で「欧文通信及び自動機通信の訂正符号」とされています。
「正しく送信した適当の語字から」というのは、誤った字そのものから打ち直すのではなく、少し手前の、正しく送れていたところまで戻って送り直すということです。
また、相手に反復を求めるときは「RPT」の次に反復する箇所を示します(運用規則32条)。RPTは「反復してください」で、自分の誤送を直す符号ではありません。

STEP 3肢の切り方

まず問題文の条件に線を引く。どの条文の場面かが決まれば、肢は一気に切れます。
例題No.1 法規 問12(自局あてか確実でない呼出し)を解きます。問題文の「自局に対する呼出しであることが確実でない」に線を引きます。不確実なのは「自分あてかどうか」なので、運用規則26条1項の場面です。
例題No.1 法規 問12を1肢ずつ切る
続けて例題No.2 法規 問13(呼出局の呼出符号が不確実)です。問題文は「自局に対する呼出しを受信した場合において」で始まるので、自分あては確実、不確実なのは相手の符号です。26条2項の場面です。
例題No.2 法規 問13を1肢ずつ切る
- ✕
- ○
- ✕肢3 呼出局の呼出符号が確実に判明するまで応答しない
「確実に判明するまで応答しない」のは1項の場面。自局あては確実な2項の場面では切れる。
- ✕
訂正の問題も同じように切れます。例題No.1 法規 問11では、肢が「HHかSNか」と「誤って送信した語字からか、正しく送信した適当の語字からか」の組み合わせでした。前置する符号で2肢、送り直す起点で1肢を切ると、「HHを前置して、正しく送信した適当の語字から」の肢2が残ります。
回数を穴埋めする問題は、まず「呼出しか応答か」を問題文で確かめます。例題No.1 法規 問13は相手局を呼び出す場合で、空欄は相手局の呼出符号なので「3回以下」です。肢には「1回」「2回以下」「2回」が並びます。
オリジナル問題1 法規 問13は応答する場合で、空欄は自局の呼出符号なので「1回」です。こちらは「2回」「3回」「3回以下」が誤りの肢で、このうち3回は次回扱う試験電波、3回以下は呼出しの数字です。
表の3行を、呼出しと応答の2列で書けるようにしておけば、どの欄が空いても埋められます。
STEP 4ひっかけ
回数の入れ替えに注意。呼出しの自局の呼出符号は「3回以下」、応答の自局の呼出符号は「1回」。「2回以下」は海上移動業務の数字。「自局あてが不確実」と「相手の呼出符号が不確実」、「誤って送信した語字から」と「正しく送信した適当の語字から」も入れ替えられます。QRZ?とQRA?は1文字違いです。

この型は、問題文の条件の語に線を引くのが先です。「確実でない」「不確実」「直ちに受信しようとする」「直ちに受信することができない」。どの規則の場面かが決まれば、肢は「応答するかしないか」「何回か」「何を前置するか」の順に切れます。1問1分を目安にします。
STEP 5自分で解く
自局に対する呼出しであることは確実だが、呼出局の呼出符号の一部を読み取れなかった。応答事項のうち、相手局の呼出符号の代わりに送るものはどれか。
呼出しに応答するが、3分後でないと通報を受信できない。応答事項の次に送るものはどれか。
相手局からの呼出しに応答するとき、順に送る事項として正しいものはどれか。
STEP 6今日のまとめ

回数・符号・場面をセットで覚えれば、この型は1問1分で取れます。
今日おぼえたこと
- 呼出しは「相手3回以下・DE1回・自局3回以下」、応答は「相手3回以下・DE1回・自局1回」。
- 応答のあと、すぐ受けるならK、受けられないならASと待つ分数(10分以上なら理由も)。
- 自局あてか不確実なら応答しない。自局あてだが相手の符号が不確実ならQRZ?で直ちに応答。
- 誤送はHH(手送の和文はラタ)を前置し、正しく送信した適当の語字から送り直す。
次回は、交信の途中と終わりに使うQ符号・略符号と、試験電波を出すときの手順を整理します。
本番の問題この回で取れるようになった問題
「例題No.」は公益財団法人日本無線協会が公表している CBT 方式の国家試験の例題、「過去問」は同協会の公表試験問題です(日本無線協会 試験問題。同協会の利用条件に基づき掲載)。「オリジナル」は当サイトの作問です。