無線通信ブートラボ

無線従事者資格の種類一覧|5区分23資格と目的別の選び方

公開 一陸技 二陸特 三陸特 3アマ 4アマ
上部の看板「無線の資格は5区分・23種類

無線従事者の資格は5区分・23資格です。仕事の業務用無線とドローンの画像伝送なら第三級陸上特殊無線技士、趣味なら第四級アマチュア無線技士、無線技術者のキャリアの到達点は第一級陸上無線技術士です。

無線従事者の資格は、電波法第40条で総合・海上・航空・陸上・アマチュアの5区分に分けられ、全部で23資格あります。日本無線協会も「全部で23の資格」と案内しています。数は多く見えますが、区分は「どこの無線局を扱うか」、資格名の後半は「何をする人か」を表しているので、仕組みが分かれば一覧はすぐ読めます。

この記事では、まず23資格を区分ごとの表で示し、名前の読み方と操作の範囲を整理します。そのうえで「仕事で業務用無線を扱う」「ドローンで画像を送る」「趣味でアマチュア無線を始める」「無線の技術者としてキャリアを作る」の4つの目的ごとに、どの資格を選べばよいかを具体的に書きます。操作の範囲は電波法施行令第3条(e-Gov の現行条文)で確かめた内容です。

無線従事者の5区分(総合3・海上8・航空2・陸上6・アマチュア4)を木の形に並べ、合計23資格を示した図
区分は「どこの無線局を扱うか」。数を足すと23資格になる

無線従事者の資格は5区分・23資格

電波法第40条第1項は、無線従事者の資格を次の5つの区分に分けています。総合は船・飛行機・陸上をまたいで扱える資格、海上は船舶局や海岸局、航空は航空機局や航空局、陸上は放送局・固定局・基地局などの陸上の無線局、アマチュアは趣味のアマチュア局のための資格です。特殊無線技士(海上・航空・陸上)の具体的な種類は電波法施行令第2条で決まっています。

無線従事者の資格一覧(電波法第40条・電波法施行令第2条)

含まれる資格主な場面
総合(3資格)第一級・第二級・第三級総合無線通信士船舶・航空・陸上の無線局をまたいで扱う。モールス符号による通信操作を含む
海上(8資格)第一級〜第四級海上無線通信士、第一級〜第三級海上特殊無線技士、レーダー級海上特殊無線技士船舶局・海岸局・船舶のレーダー。漁船や小型船の無線電話など
航空(2資格)航空無線通信士、航空特殊無線技士航空機局・航空局。航空運送事業の航空機や航空交通管制用の航空局は航空無線通信士
陸上(6資格)第一級・第二級陸上無線技術士、第一級〜第三級陸上特殊無線技士、国内電信級陸上特殊無線技士放送局・固定局・基地局・業務用無線・ドローンの画像伝送など
アマチュア(4資格)第一級〜第四級アマチュア無線技士アマチュア局(金銭上の利益のためでない、個人的な無線技術の興味による通信)

無線従事者になるには、電波法第41条により総務大臣の免許を受けます。免許を受ける道は、国家試験に合格する、総務大臣が認定した養成課程を修了する、学校で所定の科目を修めて卒業する、一定の資格と業務経歴を持つ、のいずれかです。日本無線協会によると、すべての資格に受験資格の制限はありません。年齢や学歴に関係なく、どの資格からでも受けられます。

ひっかけ

無線従事者の免許(人の資格)と、無線局の免許(局を開設する許可)は別物です。資格を持っていても、無線局を開設するには別に無線局の免許(または登録)が要ります。逆に、無線局の免許があっても、操作する人に資格がなければ操作できない設備があります。

名前で読み解く:通信士・技術士・特殊無線技士・アマチュア無線技士

資格名の後半を見ると、その資格の性格が分かります。電波法施行令第3条の操作の範囲には「通信操作」と「技術操作」の2つの言葉が出てきます。通信操作はマイクや電鍵で通信をすること、技術操作は送信機や受信機を調整・保守することです。

資格名の後半が表すもの

級の数字は、小さいほど範囲が広くなります。たとえば陸上特殊無線技士は、第一級が第二級の範囲を、第二級が第三級の範囲を含む作りです。アマチュア無線技士も第一級はアマチュア局のすべての無線設備、第四級は10W・20W以下と範囲が狭くなります。

ポイント

上位の業務用資格の一部は、アマチュア局の操作もできます。電波法施行令第3条第5項により、第一級陸上無線技術士・第二級陸上無線技術士・第一級海上無線通信士などは第四級アマチュア無線技士の範囲、第一級・第二級総合無線通信士は第一級アマチュア無線技士の範囲を操作できます。ただし、アマチュア局を開くには別にアマチュア局の免許が要ります。

陸上とアマチュアの操作範囲を比べる

受験者が多いのは陸上とアマチュアの資格です。この10資格の操作範囲を、電波法施行令第3条の条文から要点だけ抜き出して並べます。周波数や電力の数字は条文どおりです。試験の形式は日本無線協会の案内によります。

陸上・アマチュアの資格と操作の範囲(電波法施行令第3条の要旨)

操作の範囲の要点試験の形式
第一級陸上無線技術士無線設備の技術操作(電力や局の種類の制限なし)筆記(マークシート)。無線工学の基礎・無線工学A・無線工学B・法規の4科目
第二級陸上無線技術士空中線電力2kW以下の無線設備(テレビジョン基幹放送局は500W以下)、レーダーなどの技術操作筆記(マークシート)。4科目
第一級陸上特殊無線技士陸上の無線局の30MHz以上・空中線電力500W以下の多重無線設備の技術操作+第二級の範囲筆記(マークシート)。無線工学・法規
第二級陸上特殊無線技士1,606.5kHz〜4,000kHz・10W以下の設備、陸上の無線局のレーダー、衛星経由の50W以下の多重無線設備などの外部の転換装置の操作+第三級の範囲CBT(年間を通して実施)。無線工学・法規
第三級陸上特殊無線技士陸上の無線局の、25,010kHz〜960MHz・50W以下、または1,215MHz以上・100W以下の設備の外部の転換装置の操作CBT(年間を通して実施)。無線工学・法規
国内電信級陸上特殊無線技士陸上に開設する無線局の無線電信の国内通信のための通信操作法規と電気通信術(和文の送受信)
第一級アマチュア無線技士アマチュア局の無線設備の操作(すべて)筆記(マークシート)。無線工学・法規
第二級アマチュア無線技士空中線電力200W以下筆記(マークシート)。無線工学・法規
第三級アマチュア無線技士空中線電力50W以下で、18MHz以上または8MHz以下CBT(年間を通して実施)。無線工学・法規
第四級アマチュア無線技士21〜30MHz・8MHz以下は10W以下、30MHzを超える周波数は20W以下(モールス符号による通信操作を除く)CBT(年間を通して実施)。無線工学・法規

表の「陸上の無線局」は、電波法施行令第3条第2項で、海岸局・船舶局・航空局・無線航行局・基幹放送局などを除いた無線局と定義されています。そのため陸上特殊無線技士は、テレビやラジオの基幹放送局の設備は扱えません(第二級陸上特殊無線技士の範囲にあるコミュニティ放送局・受信障害対策中継放送局の外部の転換装置は例外)。放送局の送信設備の技術操作には、陸上無線技術士が必要です。

試験ではここ

陸上特殊無線技士やアマチュア無線技士の試験では、自分の資格の操作の範囲そのものが法規で問われます。「3陸特は960MHzまでの50W以下」「4アマは30MHzを超えると20W以下」のように、周波数と電力をセットで覚えておくと、法規の問題と実際の運用の両方で迷いません。

目的別の選び方

どの資格を取るかは、扱う無線局で決まります。迷ったら「自分が触る無線局は何か」「業務か趣味か」の2つを確かめてください。目的ごとの選び方は次のとおりです。

目的から無線の資格を選ぶフローチャート
目的から逆にたどると、最初に取る資格が決まる

目的から逆引きする

  • 仕事で業務用無線・基地局を扱う 業務用無線の基地局・陸上移動局や、電気通信業務用・公共業務用の固定局に関わるなら陸上特殊無線技士です。25,010kHz〜960MHz・50W以下の設備なら第三級陸上特殊無線技士の範囲に入り、30MHz以上・500W以下の多重無線設備まで扱うなら第一級陸上特殊無線技士です
  • ドローンで画像やデータを送る 次の節で詳しく書きます。業務で無人移動体画像伝送システムを使うなら第三級陸上特殊無線技士以上、趣味のFPVをアマチュア無線の周波数で飛ばすならアマチュア無線技士です
  • 趣味でアマチュア無線を始める 入口は第四級アマチュア無線技士です。CBTで年間を通して受験でき、養成課程(講習)でも取れます。もっと強い電力や広い周波数で運用したくなったら、第三級(50W以下)、第二級(200W以下)、第一級と上げていきます
  • 無線の技術者としてキャリアを作る 放送局や電気通信事業者の無線設備を、電力の制限なしに扱える第一級陸上無線技術士(一陸技)が最上位の目標です。第二級陸上無線技術士は2kW以下(テレビジョン基幹放送局は500W以下)までに限られます
  • 船・飛行機の無線を扱う 船舶なら海上無線通信士か海上特殊無線技士、航空運送事業に使わない航空機の無線なら航空特殊無線技士、航空運送事業の航空機なら航空無線通信士です
ポイント

業務の現場(アマチュア局を除く)では、資格がなくても、選任の届出をした主任無線従事者の監督を受ければ操作できる場合があります(電波法第39条第1項)。主任無線従事者になれるのは、その操作の監督ができる資格の無線従事者です。職場で「誰の資格で運用しているか」を一度確認しておくと、自分に必要な資格の級が分かります。

ドローンに必要な無線の資格

ドローンは、使う電波によって資格が要るかどうかが変わります。総務省の資料「我が国においてドローン用に使用可能な周波数等」では、次のように整理されています。

ドローンの電波と資格(総務省資料より)

  • 免許も資格も不要なもの 微弱無線局のラジコン(73MHz帯など。500mの距離での電界強度が200μV/m以下の弱い電波)、920MHz帯の特定小電力無線局(20mW)、2.4GHz帯の小電力データ通信システム(10mW/MHz)。920MHz帯と2.4GHz帯は、技術基準適合証明などを受けた設備であることが条件です
  • 無線局の免許と第三級陸上特殊無線技士以上が要るもの 無人移動体画像伝送システム(平成28年8月に制度整備)。169MHz帯(10mW)、2.4GHz帯(最大1W)、5.7GHz帯(最大1W)を使い、操縦・画像伝送・データ伝送に使えます。運用にあたっては運用調整も必要です
  • ほかに無線局の免許が要るもの 1.2GHz帯のアナログ画像伝送(携帯局、最大1W)。総務省は他の周波数帯への移行を勧めています。必要な資格は総合通信局で確認してください

趣味のレース機などで、アマチュア無線の周波数を使って映像を送る(FPV)場合は、アマチュア局の免許と、アマチュア無線技士の資格が必要です。たとえば5GHz帯は30MHzを超える周波数なので、第四級アマチュア無線技士の範囲(20W以下)に入ります。

ひっかけ

アマチュア無線は、電波法施行規則第3条で「金銭上の利益のためでなく、もつぱら個人的な無線技術の興味によつて行う」業務と決まっています。仕事の空撮や点検にアマチュア無線の周波数は使えません。業務で高出力の画像伝送を使うなら、第三級陸上特殊無線技士以上と無人移動体画像伝送システムの無線局の免許です。なお、機体の飛行のルール(航空法)は国土交通省の管轄で、この記事の無線の資格とは別の話です。

キャリアの到達点:第一級陸上無線技術士(一陸技)

一陸技は、陸上の無線局を中心に、あらゆる無線設備の技術操作ができる資格です。電波法施行令第3条で操作の範囲が「無線設備の技術操作」の一行だけになっているのは、この資格だけです。日本無線協会も一陸技を「放送局、電気通信業務用等の固定局、無線測位局等すべての無線局の無線設備の技術的な操作を行うことができます」と紹介しています。第二級陸上無線技術士にある空中線電力の上限がないので、大電力の放送局の送信設備も扱えます。

試験は、日本無線協会の表によると、無線工学の基礎・無線工学A・無線工学Bが各25問・2時間30分(各125点満点で75点以上が合格)、法規が20問・2時間(100点満点で60点以上が合格)の4科目です。合格点をとった科目は、その科目の試験があった月の翌月の初めから3年以内に行われる同じ資格の試験で、申請により免除されます。4科目を一度にそろえなくてよいので、働きながら2〜3回に分けて合格を積み上げる計画が立てられます。

次回の試験は令和9年(2027年)1月19日〜20日、申請の受付は令和8年(2026年)11月1日〜20日です(日本無線協会の令和8年度の案内)。第二級陸上無線技術士は令和9年1月21日〜22日です。日程は年度ごとに変わるので、受験前に必ず日本無線協会の最新の案内を確認してください。

試験ではここ

一陸技を最終目標にするなら、先に第三級・第二級陸上特殊無線技士の法規を通しておくのも手です。免許・運用・監督・罰則という電波法の骨格は共通で、一陸技の法規では、その上に無線設備規則などの技術基準の問題も出ます。

取り方:国家試験・CBT・養成課程

取り方は大きく2つです。1つは国家試験で、日本無線協会が全資格の試験を行っています。第二級・第三級海上特殊無線技士、第二級・第三級陸上特殊無線技士、第三級・第四級アマチュア無線技士の6資格は、全国300か所以上のテストセンターでコンピューターを使うCBT方式により年間を通して実施されています。それ以外の資格は、決まった日に行う筆記試験です。

もう1つは養成課程です。無線従事者規則第20条で、養成課程の対象になる資格が決まっています。対象は第三級・第四級海上無線通信士、海上特殊無線技士(第一級〜第三級・レーダー級)、航空無線通信士、航空特殊無線技士、陸上特殊無線技士(第一級〜第三級・国内電信級)、第二級〜第四級アマチュア無線技士です。講習を受けて修了試験に合格すれば、国家試験を受けずに免許を申請できます。

ポイント

陸上無線技術士(第一級・第二級)、総合無線通信士、第一級・第二級海上無線通信士、第一級アマチュア無線技士は、無線従事者規則第20条の養成課程の対象に入っていません。これらを取るには、国家試験に合格するのが基本の道です(陸上無線技術士などには、一定の資格と長い業務経歴を持つ人向けの認定講習課程もあります)。

ブートラボでの進め方

無線通信ブートラボでは、陸上とアマチュアの資格を中心に演習を用意しています。第二級・第三級陸上特殊無線技士は日本無線協会のCBT例題3セットと、平成31年2月期〜令和4年2月期の本試験過去問9期分、第三級アマチュア無線技士はCBT例題3セットとブートラボのオリジナル問題3セット(3アマは過去問が公表されていないため)、第四級アマチュア無線技士はCBT例題3セットを収録しています。一陸技は令和8年1月期・7月期のA問題(基礎・工学A・工学B・法規)を収録しています。B問題はまだ入っていません。

資格選びのあとに使える機能

  • CBT例題1セットを、本番と同じく最後まで正誤を見ずに解く「本試験形式の通し」
  • 間違えた問題や自信のなかった問題が自動で復習の列に入る SRS 復習
  • 法規・無線工学の用語集(電波法の条文や操作の範囲を、図と先生の挿絵つきで解説)
  • 電波の中の声を取り出すまでを16回で組み立てる講義「作ってわかる AM 受信機」(無線工学の受信機の範囲)

まず目標の資格を1つ決めて、その資格の例題を1セット解いてみてください。解けなかった問題の解説と用語集を読むと、その資格の操作の範囲や電波法の骨格が自然に頭に入ります。

よくある質問

無線従事者の資格は全部で何種類ありますか?

総合・海上・航空・陸上・アマチュアの5区分で、全部で23資格です。区分は電波法第40条、特殊無線技士の種類は電波法施行令第2条で決まっています。

ドローンを飛ばすのに無線の資格は必要ですか?

市販機に多い2.4GHz帯の小電力データ通信システムなど、免許不要の電波だけなら資格は要りません。業務で無人移動体画像伝送システム(169MHz帯・2.4GHz帯・5.7GHz帯の最大1Wなど)を使うなら、無線局の免許と第三級陸上特殊無線技士以上の資格が必要です。

仕事の空撮にアマチュア無線のFPVを使ってもいいですか?

使えません。アマチュア業務は金銭上の利益のためでない、個人的な無線技術の興味による通信と定義されています(電波法施行規則第3条)。業務なら陸上特殊無線技士と業務用の無線局の免許を使います。

受験資格はありますか?

ありません。日本無線協会によると、無線従事者のすべての資格は受験資格を問わず、誰でもどの資格からでも受けられます。

一陸技は科目ごとに合格できますか?

できます。合格点をとった科目は、試験の月の翌月の初めから3年以内に行われる同じ資格の試験で、申請により免除されます。

過去問を1問ずつ、解説つきで。無線通信ブートラボは無料で始められます。

参考にした資料

ほかの記事