3陸特は、CBT方式の国家試験か1日の養成課程で取れる入門の無線資格です。産業用ドローンで5.7GHz帯などの無人移動体画像伝送システムを使うときに必要で、令和6年度の国家試験の合格率は79.1%でした。
第三級陸上特殊無線技士(3陸特、三陸特)は、陸上の業務用無線のうち、空中線電力50ワット以下で25,010kHz〜960MHz、100ワット以下で1,215MHz以上の無線設備を扱える入門の資格です。産業用ドローンの5.7GHz帯などで使う「無人移動体画像伝送システム」を運用するときにも必要になります。取り方は、CBT方式の国家試験か、1日の養成課程。令和6年度(2024年度)の国家試験の合格率は79.1%でした。
この記事では、3陸特でできることを電波法施行令の条文で確認し、ドローンでどの電波なら3陸特が要るのかを総務省の資料どおりに整理します。そのうえで、2陸特との違い、国家試験と養成課程の選び方、勉強法を説明します。

3陸特でできること(操作の範囲)
資格ごとの操作の範囲は、電波法第40条を受けて電波法施行令第3条が定めています。3陸特の欄は短く、次のとおりです。
電波法施行令第3条 第三級陸上特殊無線技士の欄
「外部の転換装置」は、電源スイッチやチャンネル切替のように、筐体の外から操作するスイッチやつまみのことです。送信機の内部を調整する操作は含みません。「陸上の無線局」は基地局・陸上移動局・携帯局・固定局などで、海岸局・航空局・基幹放送局などは含みません。
日本無線協会は、2陸特・3陸特が活躍する分野として、警察、消防、防災行政無線、MCA無線、タクシー無線などを挙げています。同じ分野でも設備の規模によって必要な資格は変わり、レーダーや衛星通信の多重無線設備を扱うなら2陸特以上が必要です。
960MHzから1,215MHzの間は3陸特の範囲に入っていません。法規では「50ワット以下・25,010kHz〜960MHz」「100ワット以下・1,215MHz以上」の数字の組合せを入れ替えた選択肢がよく出ます。電力と周波数をセットで覚えてください。
ドローンで3陸特が必要になる場面
総務省の電波利用ポータル「ドローン等に用いられる無線設備について」は、国内でドローン等に使われる主な無線通信システムを、無線局免許と無線従事者資格の要否で整理しています。3陸特が関係するのは、平成28年(2016年)8月に制度化された無人移動体画像伝送システムです。
ドローン等で使う主な無線と資格(総務省 電波利用ポータルより抜粋)
| 周波数帯・最大出力 | 無線局免許 | 無線従事者資格 | |
|---|---|---|---|
| ラジコン用微弱無線局 | 73MHz帯等(500m先で200μV/m以下) | 不要 | 不要 |
| 920MHz帯 特定小電力無線局 | 920MHz帯・20mW | 不要(技適が必要) | 不要 |
| 2.4GHz帯 小電力データ通信システム | 2.4GHz帯・10mW/MHz | 不要(技適が必要) | 不要 |
| 無人移動体画像伝送システム | 169MHz帯・10mW(地上から発射する局は最大1W)、2.4GHz帯・1W、5.7GHz帯・1W | 要(運用調整も必要) | 第三級陸上特殊無線技士以上 |
つまり、技適マーク付きの2.4GHz帯小電力データ通信システム(Wi-Fiなど)で操縦・映像伝送をする機体なら、無線局免許も無線従事者資格もいりません。一方、より遠くまで高画質の映像を送るために2.4GHz帯の1ワットや5.7GHz帯を使う無人移動体画像伝送システムを使うなら、無線局の免許を受け、3陸特以上の資格を持つ人が操作します。169MHz帯も同じシステムに含まれます。
無人移動体画像伝送システムは「一般業務用(産業の用に供するものに限る)」として制度化されたもので、限られた周波数を複数の運用者で分け合うため、運用者間の運用調整が必要です。免許申請のときには、運用調整団体の加入証明書などを提出します。

5.7GHz帯の1ワットも、169MHz帯の10ミリワットも、3陸特の操作範囲(1,215MHz以上は100ワット以下、25,010kHz〜960MHzは50ワット以下)に収まります。総務省が「第三級陸上特殊無線技士以上」と書いているのは、2陸特・1陸特など上位の資格でもよいという意味です。
趣味のFPV(機体のカメラ映像を見ながらの操縦)で5GHz帯のアマチュア無線を使う場合は、3陸特ではなくアマチュア無線技士の資格とアマチュア局の免許が必要です。アマチュア無線は金銭上の利益のためでない個人的な無線通信なので、仕事で飛ばすドローンには使えません。仕事でドローンの映像伝送に5.7GHz帯を使うなら、3陸特が入口になります。
なお、無線局の操作は、原則として操作の範囲に合った無線従事者が行います。電波法第39条には、資格者を主任無線従事者に選任して届け出れば、その監督の下で資格のない人も操作できる仕組みもあります。現場の体制は免許人ごとに異なるので、申請先の総合通信局で確認してください。機体の飛行のルール(航空法の無人航空機の制度)は国土交通省の別の制度で、3陸特を取っても飛行の許可や操縦の資格にはなりません。
2陸特との違い
2陸特の操作範囲は、電波法施行令第3条で「第三級陸上特殊無線技士の操作の範囲に属する操作」を含むと定められています。2陸特は3陸特の上位互換で、3陸特の範囲に次の設備が加わります。
3陸特と2陸特の違い
| 3陸特 | 2陸特 | |
|---|---|---|
| 25,010kHz〜960MHz | 50ワット以下 | 50ワット以下(同じ) |
| 1,215MHz以上 | 100ワット以下 | 100ワット以下(同じ) |
| 陸上の無線局のレーダー | できない | できる |
| 衛星中継の多重無線設備 | できない | 50ワット以下ならできる |
| 1,606.5kHz〜4,000kHz | できない | 10ワット以下(多重無線設備を除く)ならできる |
| 受信障害対策中継放送局・コミュニティ放送局 | できない | できる |
| 国家試験 | 法規12問・工学12問、各8問以上 | 法規12問・工学12問、各8問以上 |
| 養成課程(日本無線協会本部) | 1日、法規4時間・工学2時間 | 2日、法規5時間・工学4時間 |
ドローンの無人移動体画像伝送システムや、VHF・UHF帯の業務用無線を扱うだけなら3陸特で足ります。レーダーや衛星通信の設備も扱う可能性があるなら、最初から2陸特を取るほうが二度手間になりません。国家試験の問題数・合格基準・手数料は同じで、違いは無線工学の範囲(レーダー・衛星・多重通信が増える)と法規の操作範囲の数字です。

取り方:CBTの国家試験か、1日の養成課程か
3陸特の取り方は、日本無線協会の国家試験に合格するか、総務大臣の認定を受けた養成課程を修了するかです。どちらも最後に総合通信局へ無線従事者免許を申請します。
3陸特の取り方の比較(日本無線協会の公表情報)
| 国家試験(CBT) | 養成課程(日本無線協会本部の公募型) | |
|---|---|---|
| 日程 | 全国の会場で随時。申請日から14日以降の日を選ぶ | 1日。本部では令和8年度に26回 |
| 中身 | 法規12問・無線工学12問の四者択一 | 法規4時間・無線工学2時間の授業と修了試験 |
| 費用 | 試験手数料6,900円+払込手数料 | 22,950円(免許申請手数料2,050円を含む) |
| 合否 | 各科目12問中8問以上(60点満点で40点以上) | 修了試験に合格して修了 |
| 結果・免許 | 結果は概ね2週間以内にメール。自分で免許申請 | 協会が免許申請手続きまで行う |
3陸特は、養成課程で取る人が多い資格です。日本無線協会の令和7年度(2025年度)の事業報告では、3陸特の国家試験の申請者数2,349人に対し、養成課程の受講者数は12,262人でした。会社単位で受講を依頼する「受託型」の養成課程もあり、業務で必要になった人がまとめて講習で取っていることがうかがえます。
自分の都合のよい日に受けたい、費用を抑えたい、という人は国家試験が向きます。1日で確実に終わらせたい、勉強の時間を取りにくい、という人は養成課程が向きます。CBTの申請はインターネットのみで、顔写真の電子登録が必要です。試験日の3日前までなら日程を変更できます。
難易度と合格率
総務省の情報通信統計データベースによると、令和6年度(2024年度)の3陸特の国家試験は受験者2,114人、合格者1,673人、合格率79.1%でした。同じ年度の2陸特は83.4%です。合格率はおおむね8割で、無線従事者の資格の中では最も入りやすい部類に入ります。
国家試験は法規・無線工学が各12問の四者択一で、日本無線協会の資料(表1)では試験時間は2科目あわせて1時間です。合格基準は各科目60点満点で40点以上、つまり1問5点で各科目8問以上です。試験後の画面には2科目の合計点が出ますが、片方でも8問に届かなければ不合格です。
無線工学は、電気の単位、トランジスタとFET、八木アンテナ、VHFの電波の伝わり方、FMとAMの違い、デジタル変調、多元接続(FDMA・TDMA)、受信機の性能、電源と測定などが中心です。CBT例題を見る限り、計算はほとんどなく、用語と性質を問う問題が並びます。法規は、操作範囲の数字、無線局の免許、無線従事者、運用の原則、監督から出ます。
過去の公表問題(令和4年2月期まで)には「免許状」が出てきますが、電波法の改正で無線局の免許状は廃止され、いまは免許記録(第14条)と免許事項証明書(第14条の2)です。古い問題で覚えた言葉は、現行法の言葉に置き換えてください。
3陸特の勉強法と勉強時間
勉強時間の公的な目安はありませんが、養成課程の授業が法規4時間・無線工学2時間の計6時間で、その日のうちに修了試験を受けることが一つの物差しになります。独学なら、10〜20時間を見ておけば十分です(無線通信ブートラボの収録量、法規・無線工学各144問を1問2〜3分で1周、間違いを解き直す前提での試算です)。
おすすめの順番
- 日本無線協会のCBT例題を1組、時間を計って解き、現状の点数を知る
- 法規は操作範囲の2つの数字の組(50ワット・25,010kHz〜960MHz、100ワット・1,215MHz以上)と、免許・運用の基本を先に覚える
- 無線工学は、FET・八木アンテナ・VHF/UHFの伝わり方・FM・デジタル変調・多元接続の用語を、一言で説明できるようにする
- 過去の公表問題を期ごとに通しで解き、間違えた問題だけを翌日・数日後に解き直す
- 例題の残り2組を本番と同じ条件で解き、両科目とも9問以上取れたら申請する
CBTは日程を自分で選べるので、先に2〜3週間後の試験日を押さえ、そこから逆算して進めるのが確実です。ドローンの業務ですぐに資格が必要なら、受験の申請から試験日まで最短でも14日空くことを計算に入れてください。結果通知まで概ね2週間、その後に免許申請です。
CBTでは、同じ題意の問題でも設問番号・選択肢の順序・数値・言い回しが変わると日本無線協会が明記しています。正解の番号ではなく、誤りの選択肢のどこが違うのかを言えるようにしておくと、言い回しが変わっても崩れません。
ブートラボでの進め方
無線通信ブートラボでは、3陸特のCBT例題3組と、平成31年2月期から令和4年2月期までの過去の公表問題9期分を、法規・無線工学それぞれ12問ずつの形で演習できます。例題の原本は正答の肢に網掛けがありますが、当サイトでは選択肢の並びを毎回入れ替えて出題します。
3陸特の受験生向けの使い方
試験日を登録すると、ホームに残り日数と今日のノルマが出ます。3陸特に受かった後で2陸特に進むなら、法規はほぼ共通で、無線工学のレーダー・衛星・多重通信を足すだけです。同じ画面で資格を切り替えて続けられます。
まとめ
- 3陸特は、陸上の無線局の50ワット以下・25,010kHz〜960MHzと、100ワット以下・1,215MHz以上の無線設備を扱える資格(レーダーと衛星中継の多重無線設備は除く)
- ドローンでは、2.4GHz帯1ワット・5.7GHz帯・169MHz帯の無人移動体画像伝送システムに「3陸特以上」と無線局免許が必要。技適付きの2.4GHz帯小電力(10mW/MHz)なら資格不要
- 2陸特は3陸特の範囲を含み、レーダー・衛星の多重無線設備などが加わる
- 取り方はCBTの国家試験(6,900円+払込手数料、各科目8問以上)か、1日の養成課程(本部で22,950円、免許申請手数料込み)。令和6年度の国家試験の合格率は79.1%
よくある質問
ドローンを飛ばすのに3陸特は必ず必要ですか?
必要なのは、無人移動体画像伝送システム(169MHz帯、2.4GHz帯の1ワット、5.7GHz帯)を使う場合です。総務省の電波利用ポータルでは、技適を受けた2.4GHz帯小電力データ通信システムや920MHz帯特定小電力無線局などは、無線局免許も無線従事者資格も不要とされています。
趣味のFPVドローンにも3陸特が使えますか?
使えません。趣味のFPVで5GHz帯のアマチュア無線を使うなら、アマチュア無線技士の資格とアマチュア局の免許が必要です。逆に、アマチュア無線を仕事のドローンに使うことはできません。
3陸特と2陸特はどちらを取るべきですか?
ドローンの画像伝送やVHF・UHF帯の業務用無線だけなら3陸特で足ります。陸上のレーダーや衛星通信の多重無線設備も扱う可能性があるなら2陸特です。国家試験の問題数・合格基準・手数料は同じです。
3陸特はどのくらいで取れますか?
養成課程なら1日(日本無線協会本部で法規4時間・無線工学2時間)です。国家試験なら、申請日から14日以降の試験日を選び、結果は概ね2週間以内にメールで届きます。その後に総合通信局へ免許を申請します。
参考にした資料
- e-Gov法令検索 電波法施行令(第3条 操作及び監督の範囲)
- e-Gov法令検索 電波法(第14条・第39条・第40条)
- 総務省 電波利用ポータル ドローン等に用いられる無線設備について
- 日本無線協会 CBT試験案内
- 日本無線協会 表1 資格別・科目別試験問題数と試験時間
- 日本無線協会 表2 国家試験の合格基準
- 日本無線協会 CBT方式の国家試験の例題
- 日本無線協会 令和8年度 公募型養成課程のご案内(陸上資格・本部)
- 日本無線協会 令和7年度事業報告書
- 日本無線協会 無線従事者が活躍する分野
- 総務省 情報通信統計データベース 無線従事者試験の実施結果(令和6年度)